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認知科学 ― 科学者、研究者の近道 ―

行動科学研究室

認知科学と拡張現実(AR)を活用して、使いやすい製品やシステムを作る

錯視の例。この道路は遠近法で三角形に見える。頂点の角度は何度ぐらいに見えるだろう? 多くの人は50 度~ 60 度と答えるが、実は100 度を超えている

一川 誠

千葉大学
文学部 行動科学コース 教授

大阪市立大学文学研究科後期博士課程修了。博士(文学)。学術振興会特別研究員、ヨーク大学での博士研究員、山口大学工学部講師・助教授を経て2006年に千葉大学文学部助教授として着任。2013年より現職。


「ドレスの色」問題でわかる、人間の認知力

しばらく前にSNS 上を飛び交った「ドレスの色」問題。写真に写ったドレスが「青と黒」に見えたり「白と金」に見えたり。私たち研究者の間でもずいぶん話題になりました。インターネット上のドレスの色は、本当は青と黒なのですが、写真だと手前が日陰になっているので、「青く見えるけれども実際は白ではないのか?」と考えてしまうのです。さらに、黒い部分はやや光沢があるように見えるので、ゴールドではないかという錯覚(錯視)が起こるのです。
 モノ作りの世界では、多くの場合、人間がユーザーとして関わります。ついつい錯覚してしまう人間の行動や心の特性についての科学的理解に基づいて製品を作ることで、使いやすく、安全で、しかも、人間の能力をこれまでになく発揮できるようになります。そのような、人間の特性に合わせ、可能性を引き出すようなユーザーサポートシステムの構築が私たちの研究テーマです。
 現在、研究室では認知科学と拡張現実(AR)を組み合わせた空間探索サポートシステム「千葉大学地図アプリ」を作成しています。人間の認知能力に合わせてナビゲーションを行うこのアプリをつくることで、将来的には、千葉県内の観光名所や都市部でのナビゲーションを可能にするシステムへと発展させることによる地域貢献も視野に入れています。さらに、認知科学的な基礎研究と応用研究とを組み合わせて人間に合わせたモノ作りを実現するノウハウを構築することで、千葉大に認知適応科学の研究拠点を構築することを目論んでいます。


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