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応用生命化学 ― 科学者、研究者の近道 ―

分子生体機能学研究室

生物の概日リズム(体内時計)が働く仕組みを解明して、未来農法に生かす

トマトの赤や黄色などの色素体はどのようにしてできあがったのか。多様な色素体の分化機構を解明する

華岡 光正

千葉大学大学院
園芸学研究科 准教授

1998年京都大学総合人間学部卒。2000年、京都大学大学院人間・環境学研究科(修士)、2003年東京大学大学院農学生命科学研究科修了(博士)。日本学術振興会特別研究員、JST CREST 研究員などを歴任。


体内時計を葉緑体に伝えているのは「シグマ因子」だった

概日リズム(circadian rhythm サーカディアン・リズム)は、さまざまな生命活動が24時間周期で行われるシステムのことで、一般的に「体内時計」といわれているもの。これは人間だけではなく、植物や菌類など多くの生物に備わっており、光合成や代謝などさまざまな機能が1日の中で最適な時間帯に起こるよう調節しています。この「概日リズム」を作るために機能する遺伝子は「時計遺伝子」と呼ばれ細胞核にあることがわかっています。
  植物の場合、光合成能や生産力の向上において概日リズムは重要な役割を果たしますが、核を中心に作られた概日リズムの情報がどのようにして葉緑体に伝えられているかは長らく謎とされてきました。2013 年、私たちは、東京工業大学、英国ブリストル大学等との共同研究によって、「シグマ因子」と呼ばれるDNAの転写に関わるタンパク質が時間情報の伝達に関わっていることを突き止め、米国科学雑誌「Science」に発表しました。
  地球上の全ての生命は、葉緑体の光合成機能により支えられています。葉緑体機能を正確に構築・維持するためには、常に核や他の細胞小器官との連携(クロストーク)が必要です。私達の研究室では、光や概日時計に応答した遺伝子発現調節や細胞内シグナル伝達機構について研究を進め、その仕組みを利用して食料問題・環境問題の解決を目指していきます。
  これから科学を学ぶ若い頭脳の参加を期待しています。

概日リズムは細胞核の中で作られ、シグマ因子によって葉緑体に伝達される

色素体機能に関わる遺伝子は、色素体自身からのシグナルによって制御されているらしいということがわかってきた

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