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コンピュータビジョン ― 科学者、研究者の近道 ―

情報工学

コンピュータビジョンでAIに次のブレイクスルーをもたらす

ディープラーニングを利用した機械学習の概念図。AIの中でディープラーニングを行っているのは、人間の脳の仕組みをまねて作られた情報処理機構「ニューラルネットワーク」。図の左から入力されたデータをネットワーク内で処理して答えを出力する。ネットワーク自体が学習能力を持っているので、データ処理を繰り返すたびに「賢く」なっていき、答えの正確度が高まる

川本 一彦

千葉大学大学院
工学研究院 教授

千葉大学工学部情報工学科を経て、2002年同大学院自然科学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。東京工業大学大学院助手、九州工業大学大学院准教授、千葉大学統合情報センターならびに大学院融合科学研究科准教授を経て、現職。


ディープラーニングで画像を解析する

AI(人工知能)は、ここ数年で飛躍的な進歩を遂げています。ブレークスルーとなったのは、機械学習の一分野であるディープラーニング(深層学習)の発 達です。私たちの研究室では、ディープラーニングを活用したコンピュータビジョンを研究しています。
コンピュータビジョンというのは、人間がもつ高度な視覚機能をコンピュータで実現するための研究分野。たくさんの画像や映像をコンピュータに見せて、コンピュータに学ばせます。学習したコンピュータは、人間にはまだまだおよばないものの、多くのことを理解できるようになりつつあり、多くの応用が考えられます。
たとえば、パンを取り出し、バターを塗り、ハムをはさんでサンドイッチを作る。この行動をAIが理解すると、次はサンドイッチの作り方を知らない人に対して、「パンを取り出しなさい「バターを塗りなさい」…とアドバイスできるようになります。人間をサポートするだけでなく、ロボットそのものが自分の判断で行動できる範囲が広がっていくのです。
行動認識の技術が進むと、AIは、より人間に近い高度な判断ができるようになります。人の表情を読み取ったり、倒れているのか寝ているのかを認識したりもできるようになるので、医療や介護など、人と人との接点が必要とされ、機械化が難しいとされていたさまざまな分野への活用が期待できます。私たちの研究は、成果が目に見える形で瞬時に実感できるところが魅力。研究によって、AIに次のブレークスルーをもたらしていきたいですね。

サンドイッチを作る映像の行動分析。サンドイッチを作る作業をウエアラブルカメラで撮影した映像をもとに行動分析を行う。パンを取り出し、バターを塗り、ハムをはさむという行為は、人間であれば子供にも教えられる簡単な作業だが、機械にとってはかなり高度な認知力が求められる。機械学習によって、正確に見極めができるようになった

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