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理工学と医学の融合:医学物理学が拓く新しいがん治療の可能性

開催日 2024/7/5(金)
時間帯 16:10-17:40
講師

森 慎一郎 氏 (量子科学技術研究開発機構 量子生命・医学部門 量子医科学研究所 治療システム開発グループ グループリーダ)

講演題目 理工学と医学の融合:医学物理学が拓く新しいがん治療の可能性
要旨 現代医学は、科学技術のめざましい進歩により、生命科学のみならず、理学や工学といった異なる領域からも研究が行われ、以前にも増して臨床に対する期待や新たな可能性が高まりつつあります。本講演では、放射線がん治療の分野に焦点を当てます。放射線がん治療は、放射線腫瘍医、医学物理士、放射線技師が密接に連携して臨床治療を進めています。これは、放射線治療が医学、物理工学、生物学という異なる学術分野の上に成り立っているためです。物理工学の技術進歩により、治療用放射線を腫瘍により集中させ、正常組織への被ばくを低減させる技術が発展してきました。これにより、患者の副作用を大幅に減少させ、治療成績を向上させることに大いに貢献しています。「患者の病気を治療するのは医学者だけ」と考える時代は過ぎ去り、今後の医療には、様々な分野の知識の融合が重要であり、これを実践できる人材が求められています。多くの場合、医療に携わる仕事に就かない限り、この事実に気付くのは大学を卒業してからです。そのきっかけとして、本人や身内、大切な人が「がん」に罹患することがあるかもしれません。本講演では、「理工系の知識で患者を救える、医療に貢献できる人材になれる」ことを大学生に伝えたいと思います。理工学の技術がどのようにして医療に役立つのか、具体的な事例や最新の研究成果を紹介し、将来「医療へ貢献する」仕事に就く学生が増えることを期待しています。私の今までの経験を通して、医学物理学を紹介し、皆さんが興味を持てるような内容としました。
会場 物理会議室(理学部2号館3階)