先輩からのメッセージ 2014年度

【Message 01】たくさんのチャンスを活かし、将来はアメリカで研究者に!

T.F. さん
物理化学コース3年 分子分光学研究室所属 県立小倉高等学校 (福岡県)出身

手厚いサポート体制に惹かれ、思い切って受験を決意! 苦手科目は個別指導もあり

 1年のうち300日以上は部活(剣道)に費やす生活をしていた高校2年のある日、父親から「先進科学プログラム」を勧められました。「飛び入学なんて、そんな無茶な!」と思う反面、入学金免除や自己負担なしでの海外研修(1カ月)などに惹かれはじめている自分もいました(笑)。
 やがて、来年はどうせ受験するのだから、その稽古のつもりで受けても損はないだろうと受験を決意。秋からは、部活の合間に過去問を解き、直前期には英語の先生に補習をしていただいて本番を迎え、幸運にも合格することができました。
 入学後、最初に感じたのは先生方のサポートの手厚さ。苦手科目はマンツーマンで教えてもらえますし、早い時期から研究室で実験に取り組むこともできるなど、とても恵まれた環境が用意されていました。また、1年次のアメリカ研修は感激とカルチャーショックの連続。アメリカの学生はそんなに勉強するのかと刺激を受けると同時に、自分もいつかはアメリカで研究や仕事がしたいと思うきっかけになりました。

研究の面白さを教えてくれた先生

 入学後、気の緩みが生じて成績が停滞した時期もありました。そんな時に「一緒にやらないか」と誘ってくださったのが分子分光学研究室の先生でした。その研究とは、7-アザインドールという化合物を溶かした溶液にレーザー光を当て、その分子がモノマー(単量体)、ダイマー(量体)のどちらで存在するのかを解析しようというもの。7- アザインドールの挙動を見ることで、DNA の解明にもつながっていくテーマです。
 その研究で良い結果が得られたため、今夏にはフランスで開催される学会でポスター発表することが決定! しかも、学内に設けられた「先進研究キャリアパス制度」が適用されることになり、諸費用は大学が負担してくれます。
 研究を通して機器分析の面白さを知ると同時に、自分の課題も明確になりました。今は、何のために何を勉強しなければならないかが分かっていますので、もう気が緩むこともありません。大学院への進学と、さらにその先を見据えながら、先生方の熱意にこたえていきたいと思います。

【Message 02】鳩を使った錯視実験を通して、人の認知能力の研究をしています。

Y.K. さん 千葉大学大学院 修士課程2年 比較認知科学研究室所属
先進科学プログラム 「人間探求コース」卒業 女子学院高等学校 (東京都)出身

自分がしたい勉強を早く始めたかった! 60羽の鳩が私の研究のパートナー

 真っ直ぐな線が曲がって見えたり、描かれていない模様が見えてきたりする絵を見たことがあると思います。それを「錯視」と呼び、この現象は人間だけではなく動物にも起こります。そこで、鳩を使って錯視実験を行い、その結果(反応時間や錯視の頻度など)を人間のものと比較します。もし共通項があるなら、それは進化の過程のどこまで遡ることができるのか、差異があるなら、その要因(生態や脳構造の違いなど)はどこにあるのかを探っていくのが私の研究テーマ。この研究を通して見えてくるのは、視覚情報の処理の仕方だけではありません。人間にとって視覚は「知ること」「判断すること」の基盤ですので、認知と行動を解き明かすことは、「人の心」を知ることにもつながるのです。

私たちだけ!のプログラムがある

 興味ある分野の勉強を早く始めた方が自分のためになると考えたことが「先進科学プログラム」を選んだ理由。その方がやっていて楽しいですからね(笑)。でも、入学後は楽しいことばかりではないことを知りました。「人間探求コース」は文学部に所属しているため、本来数学の授業はありません。しかし、私たち「先進」の学生にとって数学は必須。元々、苦手な科目なので苦労しましたが、先生方の個別指導で乗り越えることができました。逆に、先進教養セミナー、先進科学セミナーなど、私たちだけの科目がたくさんあり、何だか得をしているなという気分を味わったことも…。比較認知科学の研究を行っている国立大学は数少なく、千葉大学は貴重な存在。将来は博士課程に進み、さらに研究を深めていきたいと考えています。

【Message 03】モノづくりの土台となる基礎研究に打ち込んでいます。

T.N. さん 千葉大学大学院修士課程2 年 強相関電子系理論研究室所属
先進科学プログラム 「物理学コース」卒業 東邦大学付属東邦高等学校 (千葉県)出身

教育環境に魅力を感じ腕試しの感覚で受験! 物理の美しさに魅了され…

 高校の授業でケプラーの法則を知り「物理」に興味を持ちはじめました。ニュートン力学の枠内で惑星の動きが説明できること、それを数式で表せることに衝撃を受け、理路整然とした理論の美しさに魅了されたのです。「先進科学プログラム」を知ったのは、高校2 年の夏。進路を決めるために各大学のオープンキャンパス情報をインターネットで調べている時でした。先生一人に学生数名という少人数制やユニークな科目群、海外研修制度など、充実した教育環境に魅力を感じ、自分の力を試す気持ちで受験(方式Ⅱ)しました。入学直後は、高校3 年生と大学1 年生を掛け持ちしているような状態で、目が回るような忙しさでしたが、とても充実した4 年間を過ごせたと思っています。

量子力学の手法でバナジウムを研究

 現在、手掛けているのは「バナジウム酸化物の相転移理論」の研究。コンピュータに結晶の形を入力し、量子力学に従って計算をさせるという手法です。バナジウムの結晶は、温度が高いと電気を通し、低くなると通さないという性質があります。高温時、低温時それぞれの電子の状態を計算によって突き止め理論化できれば、いつの日か社会に役立つ物質(材料)の開発につながる可能性もあります。そもそも現在の研究室に入ったのは、金属や結晶など、具体的な対象があり、目に見える形になるという点に惹かれたから。物理には、研究の方法(理論)と対象(現象)がありますが、僕の場合は対象に興味を持つことが多いようです。修士課程を修了後は、物理学の知見を活かし、民間企業の研究所に勤務する予定です。

【Message 04】量子論と情報学を融合させることで夢のコンピュータの可能性を探っています

添田 彬仁さん そえだ あきひと
東京大学大学院 理学系研究科 助教

1年早いことが精神的な余裕に。研究者として、量子情報の難問に取り組んでいきます。 未解明な部分が多い量子情報に挑戦

 東大の博士課程修了後、シンガポール国立大学にある量子情報研究所へ。2 年間の博士研究員(ポスドク)を経て、現在の研究室の助教に赴任しました。その研究室で私が行っているのは「量子情報」の基礎研究。量子力学の視点から情報処理にアプローチする先端領域「量子情報」の基礎研究です。
 この分野は歴史が浅く、未解明な部分が数多くあります。例えば、量子論を導入すると情報処理能力が驚異的に上がり、現在のコンピュータでは不可能または膨大な時間を要する因数分解を簡単にできることは分かっているのですが、それが何故なのかは解明されていません。
 そこで、量子ビット(量子情報の最小単位)2つで「何ができるか」を理論的に探究し、将来の量子コンピュータにつなげていこうというのが私のテーマ。道のりは険しいかも知れませんが、分からない部分が多いということは、それだけ多くの「知」が潜んでおり、たくさんの挑戦ができるということ。やりがいはあります!

研究者としての土台が築けた「先進」時代

 文系の科目が苦手な人にとって本プログラムの試験制度は魅力的かも知れません。私もそうでした(笑)。他の学生より多くの授業が待ち構えているので、勉強は決して楽ではありません。しかし、1 年次から教授の個人指導が受けられ、専用の学習室まで用意されているなど、多くのメリットもあります。学習室では、さまざまなテーマで議論の花が咲くこともあります。たとえば一時期、ドイツの哲学者ヴィトゲンシュタインがブームになり、彼の著書『論理哲学論考』について、夜遅くまで哲学談義をしたこともありました。
 今、思い返してみると、それらの議論を通して、物事を突き詰めて考えること、あるいは、何を議論すれば答えに近づけるのかを見極めるセンスを養う「研究の基礎訓練」ができたのではないかと思っています。飛び入学は、標準ルートではないかもしれませんが、少し違った世界を見たいと思える人には絶対にオススメ。1年早く入学できれば、その後の人生でも1 年分の余裕を持って生きられます。これは精神的に大きなアドバンテージです。

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